個人事業者の現預金の管理

えくしん青色簿記は、帳簿に現預金の動きを記載しない方法で、複式簿記を実現しています。小規模の事業者の場合、事業資金と個人用資金(家計やお小遣い)とを区別して持ち歩いたり、事業用の預金額が動く度に会計帳簿の記入をするのはかなり面倒です。なので、逆転の発想をして「事業用の資金なんて全然ありません」ということにしています。

よく、個人事業の会計について書かれている本には、「個人用の現金と事業用の現金を分けましょう、事業用預金口座を作りましょう」と、一番最初に書かれていたりします。ぼくは、とっても不思議です。だって、そもそもお金に色はないですし、支払いの時にどっちの財布からお金を出すとか、こっちが足りないから・・・・・、そんなことを想像すると、ぼくは頭が狂いそうになります。

えくしん青色簿記の、現預金を記帳しないやり方は次の2つがポイントです。もし、税務署や銀行などに質問された場合は、この2つを説明してください。

  1. 手持ち資金は全額「家計用」です。支払いや回収のときに事業資金は使っていません。
  2. 売上金回収や支払事務を、事業者ではなく個人が代わりに行っています。親会社が子会社の支払や回収事務したり、お金を出納係にあずけて、一定期間の取引の合計をまとめて記帳する「小口現金」と同じ方法です。

ところで、「それじゃ、事業の資金管理ができないんじゃないの? そもそも儲かっているかどうか分からないよ?」という疑問が生まれます。現預金の動きが必ずしも業績を表しているとは限りませんが、実際問題として、事業の好調不調のバロメータのひとつと見る方は多くいらっしゃいます。

実は、ぼくの場合は、預金通帳を3冊持っています。1つ目は売上が入金される預金通帳、2つ目は事業上の仕入や経費支払をするための預金通帳です。そしてこれ以外に、家計用の預金通帳もあります。そして、毎月の仕入や経費支払い額の概算を、ネットバンクの振替機能で2つ目の通帳に入金しています。こうすれば、1つ目の通帳の毎月の増減で、先ほどの預金の動きでわかる程度のことならわかります。

また、これらの銀行口座は全部、事業用ではなく個人名義で作っています。だから、ネットバンクやATM、振込などの手数料が個人用の安い金額で可能で、またクレジットカードの引き落とし口座にすることもできます。

最近は、もし将来、法人化した時でも、経費や仕入の支払いは個人名義の銀行口座からするほうが便利だなぁ、なんて思っています。